「最近、トイレが近くなった」「尿のキレが悪い……」そんな50代以上の男性に多い悩みが前立腺肥大症です。
その治療薬としてよく処方される「デュタステリド」ですが、実はネットやSNSで「飲むと髪の毛が増える」「薄毛が改善した」という噂を耳にしたことはありませんか?
「排尿の薬なのに、なぜ髪が生えるの?」と疑問に思う方も多いはず。今回は、前立腺肥大症の治療薬であるデュタステリドが増毛効果をもたらす理由と、知っておくべき注意点について分かりやすく解説します。
なぜ?前立腺肥大症の薬で「増毛」する理由
結論から言うと、デュタステリドが増毛効果を持つのは本当です。実際に、男性型脱毛症(AGA)の治療薬である「ザガーロ」という薬の有効成分も、このデュタステリドです。
なぜ一つの成分で「前立腺」と「髪」の両方に効果があるのでしょうか?その鍵は、ジヒドロテストステロン(DHT)という悪玉の男性ホルモンにあります。
1. 前立腺肥大症とDHTの関係
男性ホルモンの一種であるテストステロンが、体内の酵素(5αリダクターゼ)と結びつくと、より強力な「DHT」に変化します。このDHTが前立腺に作用すると、前立腺の細胞が増殖して肥大化し、尿道を圧迫して排尿トラブルを引き起こします。
2. 薄毛(AGA)とDHTの関係
恐ろしいことに、このDHTは頭皮にも悪影響を及ぼします。髪の毛の成長サイクル(ヘアサイクル)を極端に短くしてしまい、髪が太く育つ前に抜けてしまう「薄毛(AGA)」の原因になるのです。
【メカニズムのまとめ】 デュタステリドは、原因となる酵素(5αリダクターゼ)の働きをブロックする薬です。これにより悪玉ホルモン(DHT)の生成が抑えられるため、前立腺の肥大が抑えられると同時に、髪の毛のヘアサイクルも正常に戻り、結果として「増毛・育毛」の効果が現れます。
デュタステリドを服用する際の注意点
一見すると「尿の悩みも髪の悩みも解決できて最高じゃないか!」と思えますが、服用にあたってはいくつか重要な注意点があります。
- 自己判断での増量・転用は絶対にNG 前立腺肥大症の治療で処方された薬を、薄毛目的で他人に譲渡したり、自己判断で飲む量を増やしたりしてはいけません。
- 初期脱毛が起きることがある 飲み始めの時期に、一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が起こることがあります。これは古い髪が抜けて新しい髪が生えてくるサイン(好転反応)であることが多いですが、不安な場合は医師に相談しましょう。
- 副作用のリスク 頻度は高くありませんが、性欲減退や勃起不全(ED)などの性機能障害、肝機能障害などの副作用が報告されています。
- 女性や子どもは「触れることも厳禁」 デュタステリドは皮膚からも吸収されるため、妊婦や授乳中の女性、子どもが薬に触れることは絶対に避けてください(胎児の生殖器官の発達に影響を及ぼす恐れがあります)。
まとめ:まずは専門医に相談を
前立腺肥大症の治療薬「デュタステリド」には、確かに髪を増やす効果(AGA改善効果)があります。
しかし、あくまで医療用医薬品であり、正しい用法・用量を守ることが大前提です。もし現在、排尿の悩みと薄毛の悩みの両方を抱えているなら、泌尿器科の医師に現在の状況を正直に相談してみるのが一番の近道です。
あなたの健康と自信を取り戻すために、まずは専門家のアドバイスを仰ぎましょう。
